飲酒運転飲酒運転で逮捕されたらどうなる
飲酒事故の解決のポイント
目次
Q 飲酒運転はどんな「犯罪」になるのですか?
酒を飲んで自動車を運転することは、道路交通法で禁止されています。
一定量以上の酒を飲んで自動車を運転した場合は、酒気帯び運転として道路交通法違反の犯罪になります。酒気帯び運転の刑罰は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
酒を大量に飲んだ等で、正常な運転ができない程度に酔っている場合には、酒酔い運転として、更に重い道路交通法違反の犯罪になります。酒酔い運転の刑罰は、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金です。
酒気帯び運転 | 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金 |
---|---|
酒酔い運転 | 5年以下の懲役又は100万円以下の罰金 |
Q どれくらいの量のお酒を飲んだら飲酒運転になるのですか?
一定量以上の酒を飲んで自動車を運転した場合、酒気帯び運転として道路交通法違反の犯罪になります。一定量とは、呼気1リットルあたり0.15ミリグラム以上のアルコールが含まれる量をいいます。
個人差はありますが、ビール350ミリリットル缶1本、ワイングラス1杯、日本酒2杯以内であれば、この基準に満たないとされています。
酒を大量に飲んだ、もともと酒に弱い等で、正常な運転ができない程度に酔っている場合には、酒酔い運転として、更に重い道路交通法違反の犯罪になります。
Q 飲酒運転の人身事故で逮捕されました。「逮捕後の流れ」は?
逮捕後は、勾留するか否かが決定され、その後は、事件を起訴するか否かが決定されます。起訴後は、基本的には刑事裁判を受けることになります。
まず、逮捕には、厳格な時間制限があります。警察官は、48時間以内に事件を検察官に送致しなければなりません。飲酒運転の逮捕の場合も、事件(事故)は検察官に送られることになります。
その後、検察官は、24時間以内に、勾留を請求するか、公訴を提起するか、被疑者を釈放するかを決定しなければなりません。飲酒運転の逮捕案件の場合は、将来の公訴提起を前提に、勾留が請求されるケースが多いです。
もっとも、スピーディーな弁護活動が功を奏し、勾留なしで釈放されるケースもあります。そのためには、当局に対し、罪証隠滅や逃走のおそれがないことを積極的に主張していくことが大切です。
勾留の期間は、最大で20日間です。この20日間の中で捜査が行われ、事件が起訴されるか否かが決定されます。示談書を提出して、軽い刑事処分を望む場合は、この20日間の中で行うことが有効です。
Q 飲酒運転で人身事故を起こしました。「免許」はどうなりますか?
飲酒運転で人身事故を起こした場合は、基本的に免許取消しになります。
日本の自動車運転免許は点数制を取っていて、違反をすると点数が加算されていき、一定の点数がたまると免許が停止・取消しされるようになっています。
飲酒運転した場合、酔いの程度によって13点から35点が加算されます。
人をひいてしまった場合、ケガの程度によって2点から20点が加算されます。合計すると、15点から55点が加算されます。
今までに免許取消・停止されたことがない方でも、15点加算されると、一発で1年間の免許取消となってしまいます。
Q 飲酒運転で人をひいてしまいました。「刑務所」に収監されますか?
飲酒運転で人身事故を起こしても、その後の対応次第では、刑務所に収監されないケースも多いです。不起訴、罰金または執行猶予で事件が終われば、基本的に刑務所に入る必要はありません。
もっとも、正常に運転できないほど酒に酔った状態で被害者に重大なケガを負わせてしまった、あるいは死亡させてしまったような場合には、多くのケースで実刑、つまり刑務所に行かなければならないとの判決が下されてしまいます。
Q 飲酒運転で人をひいてしまいました。相手方と「示談」できますか?
相手方と示談が可能なケースが多いです。実際、弊所では過去、多くの飲酒事故で相手方と示談を成立させてきました。
飲酒運転で人をひいてしまった場合は、被害者に損害賠償をする必要があります。任意保険に加入している場合には、基本的には保険会社が代わりに損害賠償に関する手続を行ってくれます。
しかし、その場合でも弁護士を立てて示談を進めるメリットがあります。弁護士が行う示談交渉では、相手方から許しの意思が表示された書面を取得することができるからです。
許しの意思が表示された書面があれば、その後の刑事手続きが有利に進みます。例えば、許しの書面が取得できたことにより、釈放が予定よりも早くなったり、刑事処分が当初よりも軽くなったりするケースがあります。
Q 飲酒運転で事故を起こしました。会社や学校は「解雇」「退学」ですか?
飲酒運転で事故を起こしても、その後の対応次第では、解雇や退学にならず、職場や学校にそのまま復帰できるケースも多いです。大切なのは、できるだけ事故を穏便に解決することです。
まず、弁護士に対しては、できるだけ罰金で済むように弁護活動を依頼しましょう。罰金になれば、刑事裁判に出廷する必要はなく、公の法廷で供述調書が読み上げられ、懲役刑の判決を受けることもありません。
また、刑事裁判になったとしても、解雇や退学にならないためには、判決に執行猶予がつくことが大切です。執行猶予がつけば、直ちに刑務所に行く必要はなく、社会復帰も比較的スムーズです。
もっとも、会社や学校の規則によっては、懲役刑の判決が下された場合には、執行猶予付であっても解雇や退学になる場合があるため、注意が必要です。
Q 飲酒運転で危険運転致死傷罪が適用されると、刑の重さはどれくらいですか?
前述のように、飲酒運転をした場合、酒気帯び運転や酒酔い運転といった道路交通法違反の犯罪に当たります。しかし、それに加えて、人を引いた場合には、重い危険運転致死傷罪の適用も視野に入ってきます。
つまり、アルコールの影響で正常な運転が「困難な状態」で運転した場合には、危険運転致死傷罪の適用があります(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第2条1号)。危険運転致死傷罪の適用により、人を死亡させた場合には1年以上20年以下の懲役、負傷させた場合には15年以下の懲役となります。
また、アルコールの影響で正常な運転に支障が生じる「おそれがある状態」で自動車を運転した場合にも、危険運転致死傷罪が適用されます(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第3条1項)。この類型の危険運転致死傷罪が適用されると、人を死亡させた場合には15年以下の懲役刑で、負傷させた場合には12年以下の懲役刑で処罰されることになります。
なお、これまでは、「アルコールの影響で正常な運転が『困難な状態』」とまで評価されないケースは、自動車運転過失致死傷罪(旧刑法211条2項)しか適用されませんでした。自動車運転過失致死傷罪では、7年以下の懲役刑または禁錮刑か100万円以下の罰金刑でしか処罰されません。
しかし、2014年の自動車運転死傷行為処罰法の施行により、「アルコールの影響で正常な運転に支障が生じる『おそれがある状態』」の運転の場合にも厳罰化が進んだことが分かります。
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